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リチウム①

リチウム(lithium)

原子番号 3   原子量 6.941

m.p. 180.54℃   b.p. 1347℃

密度 0.534(g/cm3)

 

リチウムの単体は固体元素中最も軽く、水に浮く。融点、沸点はアルカリ金属の中で最も高い。炎色反応は赤色。アンブリゴ石 AlPO4 ・LiF、リチア輝石 AlLi(SiO3)2 、紅雲母 AlKLi2(FeOH)2(Si4O10)、葉長石 AlLi(Si2O5)2などに含まれる。単体は銀白色の軟質金属で、塩化物の溶融塩電解やピリジン中での電解で得られる。強い還元力を持ち、反応性に富むが、他のアルカリ金属に比べると弱い。常温で水と反応し、水素を発生する。また、ハロゲンとはハロゲン化物を生成する。リチウムの性質はマグネシウムの性質と似ている(対角関係)。原子炉の制御棒や触媒、合金、電池などに利用される。

 

リチウムは1817年スウェーデンの化学者Johan August Arfwedsonが葉長石から発見した。リチウムの名前の語源はギリシャ語で石を表す"lithos"である。これはナトリウムやカリウムが植物関連物質から見つかったのに対し、リチウムが鉱石から見つかったことに基づいている。

 

リチウムの約8割が南米に集中しているとも言われ、アタカマ塩湖は世界有数のリチウム生産現場である。アタカマ塩湖は標高約2300mの高地だが、かつては海であった。アンデスの造山活動で隆起し、リチウムがたまったといわれる。年間で雨の降る日がわずか数日だという乾燥した気候も、リチウムの生産に役立っている。

 

 

医薬品

炭酸リチウムLi2CO3やクエン酸リチウムLi3C6H5O7などのリチウム化合物は様々な精神科の病気の治療に利用される。特に躁うつ病などで利用され、有効な治療薬であるが、効果が出るまでに4~10日かかるという問題がある。リチウムを用いる最大の利点は躁うつ病の発症を予防したり、弱めたりできるという点で、リチウムの予防療法と呼ばれている。

 

リチウム電池

 負極活物質としてリチウムを用いる一次電池。正極活物質にはフッ素で処理した黒鉛や酸化マンガン(Ⅳ) MnO2などが用いられる。容量が大きく、寿命が長い。コイン型や薄いペーパー型など様々な形状にできる。水道メーターや火災報知機などに利用される。

 

リチウムイオン電池

負極活物質にリチウムイオンを吸蔵する炭素 CLix、正極活物質にコバルト酸リチウム LiCoO2、電解液にリチウム塩を溶かした有機溶媒を用いるものが一般的。二次電池。リチウムイオンの移動により、電流が流れる。小型でエネルギー密度が高く、一回の充電で長く持つのが特徴。スマートフォンやノートパソコンの電源などとして利用される。

 

全固体リチウムイオン電池

名前の示す通り、リチウムイオン電池の電解液の部分を固体化したものである。液体に匹敵する、またはそれ以上のイオン伝導率を持つ固体電解質の発見により、実用化がすすめられている。電解液の液漏れによる発火などの危険がなくなる、エネルギー密度が高められる、温度変化に強いといったメリットが挙げられる。

 

リチウム空気電池

理論上あらゆる二次電池の中で最も高いエネルギー密度を持つとされており、次世代の電池として期待されている。負極活物質に金属リチウム、正極活物質に空気中の酸素を利用する。放電反応では、負極から溶け出したリチウムイオンが正極で酸素と反応し、過酸化リチウム Li2O2に変化する。正極活物質を電池内に持つ必要がないため、エネルギー密度を高めることができ、現在のリチウムイオン電池の5倍以上になるともいわれる。また、コストも抑えられるとされている。使用後の電池から金属リチウムを再生することが容易なため、リサイクルにも向く。このリチウム空気電池はセンサーやウェアラブルデバイスでの利用の他、大容量であるという特性から、ドローンや電気自動車などの分野での活躍も期待されている。

 

リチウム②