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対角関係(diagonal relationship)

対角関係とは

周期表の第2周期の元素は、右斜め下の第3周期の元素と似たような性質を示す。例えばリチウムとマグネシウム、ベリリウムとアルミニウム、ホウ素とケイ素などには類似している点が多い。この関係のことを対角関係という。

この対角関係はイオン半径、原子半径が近い値をとることが原因である。

 

周期表で右にいくと陽子の数が増えイオン半径、原子半径は小さくなる。また、周期表で下に行くと、より外側の電子軌道に電子が入るため、イオン半径、原子半径は大きくなる。この二つの要因によってイオン半径、原子半径の値が近くなるのである。

 

リチウム(Li)とマグネシウム(Mg)の類似性

・電気陰性度(Pauling) Li :0.98 Mg:1.31

・窒素と反応して窒化物を生成する

 6Li+N2→2Li3N

 3Mg+N2→Mg3N2

・炭酸塩やリン酸塩は水に溶けにくい

・フッ化物は水に溶けにくい

・塩化物はエタノールに可溶

・炭酸塩は加熱により分解し、酸化物と二酸化炭素を生成する

 Li2CO3→Li2O+CO2

 MgCO3→MgO+CO2

・水酸化物は加熱により分解し、酸化物と水を生成する

 2LiOH→Li2O+H2O

 Mg(OH)2→MgO+H2O

・硝酸塩は加熱により分解し、二酸化窒素を生じる

 4LiNO3→2Li2O+4NO2+O2

 2Mg(NO3)2→2MgO+4NO2+O2

・有機化合物は有機反応試薬として有用

 

ベリリウム(Be)とアルミニウム(Al)の類似性

・電気陰性度(Pauling) Be:1.57 Al:1.61

・酸化物は硬く、耐火性がある

・表面に酸化被膜を形成するため濃硝酸には不溶

・塩基と反応し、水素を発生する

 Be+2NaOH+2H2O→Na2[Be(OH)4]+H2

 2Al+2NaOH→2Na[Al(OH)4]+H2

・炭化物は水と反応し、メタンを生じる

 Be2C+4H2O→2Be(OH)2+CH4

 Al4C3+12H2O→4Al(OH)3+3CH4

・炭酸塩は不安定

・塩化物はルイス酸として働き、フリーデル・クラフツ反応の触媒として利用される

 

ホウ素(B)とケイ素(Si)の類似性

・電気陰性度(Pauling) B:2.04 Si:1.90

・非金属性

・水素化物は揮発性、自然発火し、容易に加水分解する

・塩化物は容易に加水分解する

 BCl3+3H2O→H3BO3+3HCl

 SiCl4+4H2O→H4SiO4+4HCl

・弱酸を形成する(H3BO3,H2SiO3など)