周期表第1族、第2族と第12族~第18族の元素を典型元素という。同族元素では価電子数が等しいため、類似した化学的性質を示す。主族元素ともよばれる。
周期表第3族~第11族の元素を遷移元素という。遷移元素はすべて金属であるから、遷移金属元素とも呼ばれる。原子番号の増加に伴い、最外殻ではなく内殻のd軌道またはf軌道に電子が充填されていく。そのため、原子番号の隣り合った元素同士は類似した化学的性質を示すものが多い。遷移元素の多くは、有色のイオンをつくる、複数の酸化数をとる、錯体を形成するなどの特徴をもつ。12族を含めることもある。
周期表第1族元素のうち水素を除く元素(Li, Na, K, Rb, Cs, Fr)をアルカリ金属という。いずれの単体も銀白色で光沢のある軟らかい金属。融点は低く、密度は小さい。水と反応し水素を発生するため、石油中で保存する。イオンは無色。炎色反応を示す。溶融塩電解によって単体を得る。アルカリ金属という名前は、水に溶かすとアルカリ性の水溶液となるところからきている。
周期表第2族元素のうちBeとMgを除く元素(Ca, Sr, Ba, Ra)をアルカリ土類金属という。いずれの単体も光沢のある金属で、アルカリ金属に比べ硬く、融点が高く密度も大きい。ラジウムを除いてすべて軽金属である。炎色反応を示す。溶融塩電解によって単体を得る。アルカリ金属と土類金属の中間的な性質を示すことからアルカリ土類金属と呼ばれるようになった。Be,
Mgはアルカリ土類金属とは性質が異なる。例えば、常温の水と反応しない、炎色反応を示さない、水酸化物は水に不溶、硫酸塩は水に可溶などである。IUPACでは、周期表の2族元素すべてをアルカリ土類金属としている。
金属の酸化物で、水に溶けず、火にも融解しないようなものを「土(earth)」と呼んでいた。このような土をつくる金属元素は土類金属と呼ばれる。一般的にはアルミニウムと希土類元素のことをさすが、周期表第13族の元素のうちホウ素を除く元素のことをいう場合もある。
周期表第15族の元素(窒素族)はニクトゲンと呼ばれることもある。これはギリシャ語で「窒息する」という意味の言葉がもとになっている。単体は窒素のみが気体で、他は固体である。酸化数は+5と+3をとることが多い。
周期表第16族の元素(酸素族)はカルコゲンと呼ばれることもある。これはギリシャ語で「鉱石を作るもの」という意味の言葉がもとになっている。酸素は含めないこともある。単体は酸素のみが気体で、他は固体である。
周期表第17族の元素(F, Cl, Br, I, At)をハロゲンという。この名前はギリシャ語で「塩」という意味の"hals"と「作る」という意味の"gennao"に由来する。単体は二原子分子で、非金属である。生体への毒性は大きい。酸化数は-1をとることが多い。
周期表第18族の元素(He, Ne, Ar, Xr, Xe, Rn)を貴ガスという。希ガス、不活性ガスとも呼ばれる。化学的に不活性で、他の元素とはあまり結合をつくらない。単体は常温で無色無臭。単原子気体で、沸点が低い。いずれも空気中に含まれ、液体空気の分留で得られる。貴ガスを放電管に封入し、放電すると、気体の種類によって様々な色の光を発する。
単体が金属としての性質(金属光沢をもつ、電気や熱の伝導性が高い、固体状態では展性・延性に富むなど)を持つ元素を金属元素という。周期表でホウ素とアスタチンを結ぶ線より左側の元素(水素を除く)に相当する。単体は金属結合により結合する。価電子は少なく、化合物は陽イオンになりやすい。
単体が金属としての性質を持たない元素(金属元素ではない元素)を非金属元素という。単体は一般に共有結合によって分子をつくる。酸化物は酸性であることが多い。
一般的に、比重が4~5以下の比較的軽い金属のことを軽金属という。アルカリ金属は全て軽金属、アルカリ土類金属はラジウムを除いて全て軽金属である。
一般的に、比重が4~5以上の比較的重い金属のことを重金属という。白金、金、水銀、鉛、銀、銅、鉄など。
空気中で酸化されやすく、水や二酸化炭素などによって容易に侵される金属を卑金属という。アルカリ金属やアルカリ土類金属、鉄、アルミニウムなど。
空気中できわめて安定で、酸に侵されにくい金属を貴金属という。産出量が少なく、高価である。一般的には金、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムの8元素を指す。貴金属8元素から金と銀を除いた6元素は白金族元素と呼ばれる。
原子番号57のランタンから原子番号71のルテチウムまでの15元素をランタノイドという(La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb,
Lu)。ランタン系列ともいう。周期表第6周期、第3族に位置し、化学的性質がよく似ている。ランタノイドは「ランタンのようなもの」という意味である(-oidは接尾辞で「…のような」という意味)。ランタノイドは原子番号の増加とともに原子半径が減少する(
ランタノイド収縮)。
ランタノイドのうちランタンを除いた14種類の元素のことをランタニドという。ランタノイドと同じ意味として使われることもある。
原子番号89のアクチニウムから原子番号103のローレンシウムまでの15元素をアクチノイドという(Ac, Th, Pa, U, Np, Pu, Am, Cm, Bk, Cf, Es, Fm, Md, No, Lr)。周期表第7周期、第3族に位置し、化学的性質がよく似ている。全て放射性元素である。
ランタノイドの15元素に周期表第3族のスカンジウムとイットリウムを加えた17元素を希土類元素という。レアアースともいう。単体は銀白色の金属である。希土類の名前は、希な土類から分離されたことに由来するが、地殻中の存在量は比較的豊富である。
原子番号92のウランよりも大きな原子番号をもつ元素を超ウラン元素という。全て天然には存在せず、人工的に作られた放射性元素である。
原子番号103のローレンシウムよりも大きな原子番号を持つ元素を超重元素という。超アクチノイド元素ともいう。
s軌道に電子が入っていく元素(周期表第1族、第2族の元素とヘリウム)のことをs-ブロック元素という。s軌道のsは英語のsharpに由来する。
p軌道に電子が入っていく元素(ヘリウムを除いた周期表第13~18族の元素)のことをp-ブロック元素という。p軌道のpは英語のprincipalに由来する。
d軌道に電子が入っていく元素のことをd-ブロック元素という。d軌道のdは英語のdiffuseに由来する。d-ブロック元素のうち、12族元素を除いたものは主遷移元素ともよばれる。原子番号21のスカンジウム(3族)から原子番号29の銅(11族)までの元素を第一遷移系列元素、原子番号39のイットリウム(3族)から47の銀(11族)までの元素を第二遷移系列元素、原子番号72のハフニウム(4族)から原子番号79の金(11族)までの元素を第三遷移系列元素という。
f軌道に電子が入っていく元素(ランタノイドとアクチノイド)のことをf-ブロック元素という。f軌道のfは英語のfundamentalに由来する。内遷移元素ともよばれる。
g軌道に電子が入っていく元素はg-ブロック元素と呼ばれ、周期表の第8周期以降に現れるが、未発見である。