魔法数(magic number)
原子核が特に安定となる陽子、または中性子の数を魔法数という。マジックナンバーともよばれる。この魔法数は1933年にWalter Maurice Elsasserによって発見された。原子核は陽子数Z、または中性子数Nが2, 8, 20, 28, 50, 82, 126のときに安定となり、これらの数が魔法数である。原子核の核模型によって説明される。近年では中性子過剰核の研究が進んでおり、中性子が多い不安定な原子ではNが8, 20, 28ではなく、6, 16, 32, 34で安定となることが分かっている。
核模型(nuclear shell model)
核模型とは、原子核内の核子が、それぞれ独立した軌道で運動しているとした原子構造の模型である。1949年にアメリカの物理学者Maria Goeppert-Mayerとドイツの物理学者J. Hans D. Jensenは魔法数が原子核の核模型における閉殻に対応することを示した。魔法数で安定している状態は、エネルギー準位に大きなギャップがあるために、次の順位に移りにくいということである。この二人は1963年にノーベル物理学賞を受賞している。
中性子過剰核における魔法数
2000年に理化学研究所の研究グループが、中性子過剰核においては魔法数の8, 20, 28が消滅し、6, 16, 32が新たに魔法数となることを発見した。2001年には東京大学の研究チームによって、34もまた魔法数となることが予測された。その後2013年に、理化学研究所と東京大学の研究チームによって、34が魔法数であるということが立証された。
安定の島(island of stability)
安定の島は原子核が比較的安定に存在できる領域で、Z=114、N=184周辺の元素の領域のことである。Glenn Theodore Seaborgによって提唱された。Z=82、N=126で鉛は安定に存在しているが、この次に安定するのはZ=114、N=184でどちらも魔法数だと予測されている。そのため、質量数が298のフレロビウムは特に安定すると予測されている。