人工甘味料とは
化学的に合成された甘味料のことを人工甘味料という。合成甘味料ともよばれる。ごく少量でも十分な甘さを得ることができ、摂取カロリーを抑えることができる。多量摂取による人体への影響は分かっていないことも多い。人工甘味料の甘味になれることで、より多くの糖質を摂取してしまうなどの危険性が挙げられている。消化されないことも多く、多量に摂取すると下痢などを引き起こすことがある。
アスパルテーム(aspartame)
L-アスパラギン酸とL-フェニルアラニンが結合した構造をとり、ショ糖の200倍の甘さがある。アスパルテームはL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステルの商品名である。原料がアミノ酸なので、体内で消化吸収されるとされている。苦みが少なく、すっきりとした甘みを持つ。常温では水に溶けにくく、吸湿性も低い。このアスパルテームは、1965年にG. D.サール社の研究者James Schlatterがガストリン合成の中間体として得て、甘みを発見した(アスパルテーム自体は既にほかの化学者によって合成されていた)。1981年にはFDAで食品添加物として安全性が確認され、日本では1983年に食品添加物に指定された。
アセスルファムK(acesulfame potassium)
アセスルファムKはアセスルファムカリウムの略称である。ショ糖の200倍の甘さがある。酢酸由来のジケテンと塩素安定剤やスルファミン酸、三酸化硫黄から合成される。水に溶けやすく、酸や熱にも比較的強い。また、甘みを感じるのが早い。後引きのない甘さを持つが、特有の苦みを感じることもある。体内で代謝、分解されずに排出される。濃度が低いほど甘味度が高くなる。1967年にドイツのHoechst社の研究者Karl Claussにより発見された。日本では2000年に食品添加物に指定された。
サッカリン(saccharin)
世界最古の人工甘味料ともよばれ、ショ糖の500倍の甘さを持つ。量が多いと苦みを感じる。歯磨き粉などにも利用されている。水に溶けにくいため、ナトリウム塩が使われることも多い。体内で代謝されずに排出される。1879年にアメリカのIra RemsenとConstantin Fahlbergにより初めて合成された。日本では、1973年に医用その他特殊な一部食品以外は使用を禁じられた。
スクラロース(sucralose)
ショ糖の3か所の水酸基が塩素原子に置き換わった構造をしている。ショ糖の600倍の甘さがある。酸や熱に比較的強く、水に溶けやすい。後味のない甘みを持つ。体内で代謝、分解されずに排出されるため、血糖値に影響を与えないとされる。1976年に、ロンドン大学クイーン・エリザベス・カレッジと製薬会社Tate&Lyle PLCとの共同研究で開発された。日本では1999年に食品添加物に指定された。
ズルチン(dulcin)
尿素とフィネチジンを原料とする人工甘味料。ショ糖の250倍の甘みを持つ。1883年にドイツのJózef Berlinerblauが発見した。1968年まで人工甘味料として用いられていたが、発がん性や肝臓障害作用などの毒性が認められたため、現在では使用が禁止されている。
チクロ(cyclo)
チクロはシクラミン酸ナトリウム(シクロヘキシルスルファミン酸ナトリウム)の俗称である。ショ糖の30倍の甘味を持つ。発がん性の疑いにより1969年に食品添加物の指定から削除された。その後、発がん性は否定されている。
ネオテーム(neotame)
ネオテームは、アメリカで開発されたアミノ酸由来の高甘味度甘味料である。アスパルテームと3,3-ジメチルブチルアルデヒドを原料に合成される。苦みや金属味などのない甘みで、ショ糖の7000~13000倍の甘さがある。日本では2007年に食品添加物に指定された。