1909年のノーベル化学賞は、触媒作用の研究および化学平衡と反応速度の基礎研究により、Friedrich Wilhelm Ostwald が受賞した。
オストワルト(Friedrich Wilhelm Ostwald)
1853.9.2~1932.4.4
ドイツの物理化学者
初めのころの研究は、親和力の定量に関するものであった。1878年には酸・塩基の化学平衡を溶液の密度や屈折率から測定、1884年には酸の反応速度への影響から酸の親和力を相対的に決定した。S. A. Arrhenius の電離説の論文を読んでからはこれを支持し、電気伝導度から酸の親和力を決定、1888年には希釈律を導いた。1887年にはJ. H. van't Hoff とともに物理化学雑誌を創刊している。1890年頃からは反応速度論と触媒の作用を研究し、1894年には触媒を平衡論的に定義している。1902年にはアンモニアを空気で酸化して硝酸を合成するオストワルト法を考案した。哲学的思考にも没頭し、エネルギー一元論を唱えた。晩年は色彩の理論体系の研究を行った。化学教育の普及にも努め、『化学の学校』など多くの著書を残している。