1912年のノーベル化学賞受賞者は2人いる。
1人目の受賞者はVictor Grignard で、グリニャール試薬の発見により受賞した。
2人目の受賞者はPaul Sabatier で、有機化合物を微細な金属の存在下で水素化する手法による有機化学への貢献により受賞した。
グリニャール(Victor Grignard)
1871.5.6~1935.12.13
フランスの有機化学者
初めは数学を学んでいたが、P. A. Barbier と出会い、有機化学の研究をはじめた。有機合成のときに亜鉛の代わりにマグネシウムを用いたらどうかという師の言葉がきっかけとなり、グリニャール試薬を発見した。このグリニャール試薬により、様々な有機合成反応が容易に行われるようになった。グリニャール反応を扱った論文は彼の死までに7000を超えており、当時の論文数から考えると、この反応の有用性がわかる。
サバティエ(Paul Sabatier)
1854.11.5~1941.8.14
フランスの化学者
種々の金属と気体分子との反応を研究する中で、1897年にニッケルの触媒によりエチレンの水素化が起こることを発見。その後この反応を一般化し、多くの不飽和有機化合物で接触還元法を確立、有機化学に新分野を開拓した。また、今日の油脂化学工業の基礎を築いた。