トリウム(thorium)
原子番号 90
m.p. 1750℃ b.p. 4790℃
密度 11.72(g/cm3)
単体は銀白色の金属。アクチノイド。1828年スウェーデンの化学者Jöns Jacob Berzeliusがトール石ThSiO₄から発見した。1898年にはドイツのG. SchmidtとフランスのM. Curieが独立にトリウムが放射性元素であることを見出した。天然にはトール石やモナズ石などに含まれる。地殻中に比較的多く含まれており、アクチノイドでは最も多い。元素名は北欧神話の雷神トール(Thor)にちなむ。空気中では表面に酸化被膜を形成する。フッ化水素酸以外の希酸に溶けにくいが、塩酸や王水に溶ける。硝酸には不動態を生じ、溶けない。二酸化トリウムThO₂は安定な化合物で、融点が約3390℃と高く、耐火性にも優れていることから、かつては特殊るつぼの材料やガス灯のマントル、アーク溶接の電極などに利用された。トリウムを用いた原子力発電はウランを用いるよりも安全性が高いと考えられており、研究が進められている。