量子数
シュレーディンガーの波動方程式を水素型原子に適用して得られる波動関数Ψには3種類の量子数n、ℓ、mℓが含まれる。これらの量子数は整数であり、それぞれ主量子数、方位量子数、磁気量子数と呼ばれる。
主量子数nはn=1,2,3,…の正の整数値をとり、軌道の空間的広がりを規定するものである。nが増大するにつれて軌道の広がりが増大する。n=1,2,3,…はそれぞれK殻、L殻、M殻、…に対応している。
方位量子数ℓはℓ=0,1,2,…,(n-1)の整数値をとり、軌道の角運動量を規定するものである。与えられた主量子数nに対し、n個の方位量子数が存在する。ℓ=0,1,2,3…はそれぞれs軌道、p軌道、d軌道、f軌道、…に対応している。
磁気量子数mℓはmℓ= -ℓ, -ℓ+1, -ℓ+2, …, 0, …, +ℓ-2, +ℓ-1, +ℓの整数値をとり、角運動量の方向を規定する。方位量子数のz成分を表す量子数である。与えられた方位量子数ℓに対し、2ℓ+1個の磁気量子数が存在する。
上記の3つの量子数の他に電子のスピンの状態を表す量子数がある。スピン方位量子数sは1/2の値をとり、スピン磁気量子数msはms=-1/2,+1/2の2つの値をとる。sは常に1/2であるため、実際にはn、ℓ、mℓ 、msの4つの量子数により電子の運動状態が記述される。