金(gold)
原子番号 79 原子量 196.96655
m.p. 1064.43℃ b.p. 2807℃
密度 19.32(g/cm3)
単体は黄金色のやわらかい金属。銀、銅に次いで電気伝導度は高い。金属中最も展性、延性に優れ、厚さ約0.1μmの箔をつくることができ、1gの金は約3000mの長さに伸ばすことができる。箔は波長が約500nm以上の光を透過させる。安定同位体は197Auのみである。化学反応性は低く、空気中、水中できわめて安定である。酸化剤によっても酸化されにくいが、王水には溶けてテトラクロロ金(Ⅲ)酸イオンとなる。また、セレン酸や酸素存在下のシアン化アルカリ溶液にも溶ける。酸化数は+1と+3をとることが多い。大部分は自然金として石英脈中に産出するが、川底に沈積した砂金としても得られる。英語の"gold"の語源はインド・ヨーロッパ祖語で「輝く」という意味の"ghel"とされる。元素記号のAuはラテン語で「太陽の輝き」という意味の"aurum"からきている。
金は古代から知られていた金属のひとつであり、古代エジプトでは紀元前3000年頃にはすでに利用されていた。産出量の少なさや美しさから富の象徴として使われてきた。古代の金製品としてはツタンカーメンのマスクが有名。金は日本でも古くから知られ、黄金(こがね)と呼ばれていた。日本に残る古代の金製品として、紀元前57年に後漢の光武帝から送られた金印がある。
金は古くから装飾品や貨幣、工芸品として利用されており、現在では銅や銀、白金族元素などとの合金が利用されることが多い。合金中の金の含量を表す際に、パーミル(千分率)‰やカラットKが用いられる。純金は24K(24金)で表され、21.6Kでは90%の金を含んでいることを表し、18金では75%の金を含んでいることを表す。金は歯科医療材料や電子工業部品、耐食性めっきなどとしても利用される他、抗リウマチ剤としてオーラノフィンなどの金化合物が利用される。