イリジウム(iridium)
原子番号 77 原子量 192.217
m.p. 2410℃ b.p. 4130℃
密度 22.56(g/cm3)
単体は銀白色の金属。1803年にイギリスの化学者S. Tennantが、白金鉱を王水で処理した際の黒い不溶物からオスミウムとともに発見した。イリジウム化合物が多様な色を示すため、ギリシア神話の虹の女神イリス(Iris)にちなんで命名された。
展性、延性に乏しく、もろい。化学的にはきわめて安定である。酸化数は+1、+3、+4をとることが多い。主な同位体は191Ir(37.3%)と193Ir(62.7%)である。天然にはイリドスミン(イリジウムとオスミウムの合金)として産出。酸に強く、熱した王水にさえ溶けにくい。空気中で加熱すると800℃以上で酸化イリジウム(Ⅳ)IrO2を生じるが、1000℃では酸化イリジウム(Ⅳ)が揮発する。フッ素、塩素とは加熱すると反応し、ハロゲン化物を生じる。
触媒や高温用るつぼの材料、万年筆のペン先などで利用される。地球での存在は少ないが、隕石には比較的多くのイリジウムが含まれている。恐竜が絶滅した約6500年前の地層にはイリジウムが比較的豊富に存在しており、このことは恐竜の絶滅が隕石の衝突によるものだという説を後押ししている。