白金(platinum)
原子番号 78 原子量 195.078
m.p. 1772℃ b.p. 3830℃
密度 21.45(g/cm3)
単体は銀白色の金属。プラチナともいう。展性、延性に富み、化学的にはきわめて安定である。ただし王水には徐々に溶けてヘキサクロロ白金(Ⅳ)酸イオンとなる。酸化数は+2と+4をとることが多い。赤熱すると水素を吸収して透明になる。微粉状の場合は体積の100倍程度の水素を吸蔵する。また、酸素も吸蔵し、吸蔵した水素や酸素は活性化されるため、酸化還元触媒として用いることができる。線膨張率がガラスとほぼ等しいため、ガラスとの接合が容易。天然には単体、他の白金族元素との合金、硫化物、ヒ化物として産出。元素名はスペイン語で「小さな銀」という意味の"platina"からきている。
白金は古代から知られていた金属のひとつであり、古代エジプトではすでに使われていたと考えられているが、初めて新元素だと認定したのはスペインのA. de Ulloaだとされる。白金はその美しさから装飾品に用いられている。また、触媒としても優れており、石油精製や自動車の排ガス浄化装置、硝酸製造、燃料電池などで利用される。この他、熱電対、ガラス溶解用るつぼ、電極、歯科用材料、接点、抵抗温度計などの利用もある。白金錯化合物は抗がん作用を持ち、シスプラチンcis-[PtCl2(NH3)2]などが利用されるが、副作用が強いといった問題点がある。白金90%、イリジウム10%の合金はかつてメートル原器として用いられた他、キログラム原器として現在でも利用されている。ただし、2019年5月20日からは新たなキログラムの定義が利用されることになる予定である。