タンタル(tantalum)
原子番号 73 原子量 180.9479
m.p. 2996℃ b.p. 5425℃
密度 16.654(g/cm3)
単体は灰色の金属。1802年にスウェーデンの化学者A. G. Ekebergが発見した。タンタルは周期表上で一つ上のニオブと性質が類似している。その上融点が高く、化学的にも安定なため分離が困難であった。そのため、元素名はギリシア神話で永久の飢渇の罰を受けたタンタロス(Tantalus)にちなんで命名された。
金属単体の融点としてはタングステン、レニウムに次いで高い。展性、延性に優れる。化学的性質はニオブとよく似ている。酸化数は+2~+5をとることが多いが、+5が最も安定である。天然にはタンタル石やコロンブ石(Fe,Mn)(Nb,Ta)2O6としてニオブとともに産出する。空気中では強固な酸化被膜を生じ、耐食性、耐酸性に非常に優れる。フッ化水素酸以外の酸に不溶。高温では水素の吸蔵能力が大きく、740倍の体積の水素を吸蔵できる。アルミニウムに比べ漏洩電流が少ないため、電解コンデンサーなどの電子部品に使われる。また、人体にほぼ無害なため、人工骨や歯科用材料として利用される。この他に電子管材料、化学工業用の耐酸材料、真空管材料、合金添加材料などでの利用もある。