ハフニウム(hafnium)
原子番号 72 原子量 178.49
m.p. 2230℃ b.p. 5197℃
密度 13.31(g/cm3)
単体は灰色の金属。理論的予測に基づいて発見された最初の元素。フランスの化学者G. Urbainは1911年に希土類元素として72番元素を発見したと報告し、セルチウム(Ct)と命名した。しかし、N. Bohrは原子構造に関する自身の理論からこれは誤りだと考えた。彼の理論では、72番元素はジルコニウムに類似していると考えられたからである。1923年には、このBohrの理論に基づいてオランダの化学者D. Costerとハンガリーの化学者G. von Hevesyが72番元素を発見した。これはBohrの原子構造論の正しさを証明するものであった。元素名は発見の地であるコペンハーゲンのラテン語名"Hafnia"にちなむ。
イオン半径がジルコニウムとほぼ同じため、化学的性質は酷似する。しかし、中性子吸収率が高いという点はジルコニウムとは異なる。空気中では酸化被膜をつくり、高温では酸化物をつくる。延性に優れる。天然にはハフニウム単独の鉱物は見つかっておらず、ジルコニウム鉱物中にジルコニウムの2%程度含まれる。ジルコニウムとの分離はきわめて困難で、ハフニウムの発見も遅れた。原子炉の制御棒やX線管の陰極、高圧放電管の電極などで利用される。また、窒化ハフニウムは優れた耐火セラミックス材料となる。