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セシウム Cs

セシウム(caesium)

原子番号 55   原子量 132.90545

m.p. 28.4℃   b.p. 678℃

密度 1.873(g/cm3)

 

単体は銀白色のやわらかい金属。アルカリ金属。1860年にドイツのR. W. BunsenとG. R. Kirchhoffがドイツのデュルクハイムの鉱泉水を処理し、分光分析を行うことで発見した。分光分析の際に2本の青い輝線が観察されたことから、ラテン語で「青色」を表す"caesius"が元素名の由来となっている。1882年にはドイツのC. Setterbergがシアン化セシウムとシアン化バリウムの混合物を電解することによりセシウム単体を取り出すことに成功した。

 

常温の空気中で酸化され、粉末は自然発火する。高温では超酸化物CsO2を生じる。水とも激しく反応する。天然にはポルックス石CsAlSi2O6として産出。安定同位体は133Csのみ。炎色反応は青色である。セシウム133は原子時計に利用される。放射性同位体であるセシウム137は核分裂生成物のひとつで、半減期は約30年。セシウム137は安価に得られるため、γ線源として利用される。福島第一原子力発電所の事故ではこのセシウム137が放出され、問題となった。同族のカリウムやナトリウムと性質が似ているため、体内に吸収されやすい。

 

 

セシウム原子時計

原子時計は1955年に実用化され、1967年にはセシウム原子時計が1秒を定義する基準となった。セシウムは規則正しい周期でマイクロ波を吸収し放出する。この周期をもとに正確な時間を測定することができる。セシウムでは共鳴周波数が9,192,631,770Hzであり、この回数振動するのに要する時間が1秒として定義されている。高精度のものでは誤差は3000万年に1秒程度。小型化された精度の低いものでも3000年に1秒程度の誤差しか生じない。全地球測位システム(GPS)にも利用されている。