カルシウム(calcium)
原子番号 20 原子量 40.078
m.p. 839℃ b.p. 1484℃
密度 1.55(g/cm3)
単体は銀白色のやわらかい金属。アルカリ土類金属。カルシウムの化合物は古代から知られていたが、単体金属は1808年にイギリスのH. Davyが電気分解を行うことで得られた。元素名はラテン語で「石灰」を意味する"calx"から来ている。
空気中では徐々に酸素と反応し、酸化物つくる。また、水と反応し水素を発生する。天然には石灰石CaCO3やセッコウCaSO4・2H2O、ホタル石CaF2などとして産出する。炎色反応はと橙赤色。カルシウムは生体必須元素で、99%は骨や歯に存在。残りの1%は血液や筋肉中に含まれ、カルシウムイオンは血液凝固に関係する。卵の殻や貝殻の主成分は炭酸カルシウムCaCO3である。植物にも必須の元素である。金属や合金の脱酸素剤、脱硫剤として利用される。その他、ベビーパウダーやチョーク、歯磨き粉などにも含まれる。大理石などは建築材料として用いられる。
さらし粉(bleaching powder) CaCl(ClO)・H2O
強い刺激臭のある白色の固体。主成分はCaCl(ClO)・H2Oである。漂白粉、クロルカルキ、カルキとも言う。水酸化カルシウムCa(OH)2に塩素を吸収させて得られる。分解しやすい。市販品の有効塩素量は24~37%。強い酸化力を持つ。漂白剤や殺菌剤、消毒剤として利用される。
高度さらし粉 Ca(ClO)2・2H2O
強い刺激臭のある白色の固体。主成分はCa(ClO)2である。有効塩素量は60~75%。強い酸化力を持つ。180℃以上では急激に分解、発火する。高度さらし粉はさらし粉に比べ温度、湿度に対する安定度が高く、長期保存ができる。漂白剤や殺菌剤、消毒剤として利用される。
塩化カルシウム CaCl2
無色の固体。融点772℃、沸点2008℃。無水物の他に一水和物、二水和物、四水和物、六水和物がある。潮解性、吸湿性がある。天然には海水中に約0.15%含まれている。水やアルコールに易溶。乾燥剤としてよく用いられるが、アンモニアやアルコールとはそれぞれCaCl2・8NH3やCaCl2・4C2H5OHなどを形成するため、これらの乾燥には適さない。六水和物と氷を約1.44:1の割合で混ぜると、温度が-54.9℃にまで下がるため、寒剤として利用される。融雪剤や豆腐の凝固剤にも用いられる。
水酸化カルシウム Ca(OH)2
無色の固体。消石灰ともいう。わずかに水に溶解し、強塩基性を示す。20℃の水100gには0.16g溶ける。飽和水溶液は石灰水と呼ばれ、懸濁液は石灰乳と呼ばれる。580℃で酸化カルシウムCaOとなる。固体、水溶液は二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムを生じる。二酸化炭素の吸収剤、酸性土壌の中和剤、消毒剤、殺虫剤、漆喰やモルタルの製造、さらし粉の製造などで利用される。
酸化カルシウム CaO
白色の固体。融点2572℃、沸点2850℃。生石灰ともいう。酸に可溶。吸湿性に優れる。二酸化炭素を吸収し、炭酸カルシウムとなる。水と反応すると強く発熱し、水酸化カルシウムCa(OH)2を生じる。水への溶解熱は約63kJ/mol。乾燥剤、弁当などの発熱剤、漆喰やモルタルなどの建築材料、さらし粉やガラスの原料などとして幅広く利用される。
炭酸カルシウム CaCO3
無味無臭で無色の固体。熱すると約900℃で酸化カルシウムと二酸化炭素に分解する。水には難溶だが、二酸化炭素を含む水には炭酸水素カルシウムCa(HCO3)2となって溶ける。酸に溶けて二酸化炭素を発生する。天然には大理石、方解石、アラレ石などとして産出する他、貝殻としても存在する。セメントや顔料、歯磨き粉、チョークなどに用いられる。
硫酸カルシウム CaSO4
無色の固体。無水物の他に半水和物、二水和物がある。無水物は硬セッコウ、半水和物は焼きセッコウ、二水和物はセッコウとも呼ばれる。セッコウCaSO4・2H2Oは120℃以上に加熱すると焼きセッコウCaSO4・1/2H2O、約400℃以上に加熱すると無水物CaSO4になる。焼きセッコウに水を加えるとセッコウになる。壁などの建築材料、美術品、医療用ギプスなどに使われる。