ヘリウム(helium)
原子番号 2 原子量 4.002602
m.p. -272.2℃(26atm)
b.p. -268.934℃
密度 0.1785(g/L)
単体は無色無臭の気体。貴ガス。1868年の皆既日食の際、イギリスの天文学者J. N. Lockyerとフランスの天文学者P. J. C. Janssenが、それぞれ独立に太陽の発光スペクトル中の未知の輝線を発見し、これが新元素によるものだとした。元素名はギリシア語で太陽を意味する"helios"にちなむ。
実際の元素が得られたのは1895年。イギリスの化学者W. Ramsayが、ウラン鉱の一種であるクレーベ石からヘリウムを分離した。ヘリウムは宇宙では水素に次いで2番目に多い元素だが、地球上に存在する量はごくわずかである。工業的には天然ガスから分離する。全元素中最も低い融点と沸点をもち、1気圧では固体にならない。化学的にはきわめて不活性。理想気体にきわめて近い。ヘリウムを封入した放電管に電圧を加えると、桃色の光を放つ。
水素に次いで軽く、不燃性であることから、気球や飛行船、風船で封入気体として利用される。また、液体ヘリウムが極低温(-272℃)であることを利用し、超伝導現象を利用するリニアモーターカーや医療用のMRIで冷却材として利用される。血液に溶けにくいことから、酸素と混合して潜水用人工空気としても利用される。ヘリウムガスは吸引すると声が高くなることでも知られる。