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ヨウ素 I

ヨウ素(iodine)

原子番号 53   原子量 126.90447

m.p. 113.5℃   b.p. 184.3℃

密度 4.93(g/cm3)

 

単体は黒紫色の固体。ハロゲン。沃素とも表記される。ヨードとも呼ばれる。1811年にフランスのB. Courtoisが海藻灰と硫酸を反応させることで発見した。元素名はギリシア語で「すみれ色」を表す"ioeides"に由来する。海藻中に有機化合物として含まれる他、海水や地下かん水中に含まれる。日本での産出量が多く、特に千葉県では多くのヨウ素が得られる。そのため、ヨウ素の生産量はチリに次いで世界で2番目であり、重要な輸出資源となっている。

 

生体必須元素の一つで、脊椎動物では甲状腺ホルモンのチロキシンの成分として知られる。酸化力を持つが、同じハロゲンである塩素や臭素に比べると弱い。揮発性で、特異臭がある。熱すると昇華する。蒸気は紫色。25℃の水100gに0.034gだけ溶ける。水には溶けにくいが、ヨウ化カリウム水溶液には三ヨウ化物イオンI3を生成して溶ける。有機溶媒には溶けやすい。水素とは高温で反応してヨウ化水素HIを生成する。デンプンと反応して青紫色を呈する(ヨウ素デンプン反応)。ヨードチンキなどの消毒薬や防腐剤として用いられる。酸化還元滴定での利用もある。安定同位体は127Iのみ。131Iは放射性元素で、半減期は約8日。チェルノブイリの原発事故や福島第一原発事故の際には131Iが環境中に放出されたことで問題となった。