バナジウム（vanadium）
原子番号 23 原子量 50.9415
m.p. 1887℃ b.p. 3377℃
密度 6.11(g/cm3)
単体は銀白色の固体。1801年、スペインのA. M. del Rioが発見。ギリシア語で「赤い」を意味する"erythros"にちなんでエリスロニウム(erythronium)と命名した。しかし、この元素の発見が誤りだとフランスの化学者に指摘され、発表を撤回してしまった。1830年にはスウェーデンの化学者N. G. Sefströmがこの元素を再発見、スカンジナビアの愛と美の女神Vanadisにちなんで"vanadium"と命名した。
天然には、カルノー石K2(UO2)2(V2O8)・3H2O、パトロナイトVS4などとして産出する。ある種のホヤ類やベニテングダケには多く含まれる。展性・延性があり、耐食性に優れる。酸化数は＋1～＋5をとる。空気中で加熱するとV2O（褐色）、V2O2（灰色）、V2O3（黒色）、V2O4（暗青色）、V2O5（橙赤色）と酸化されていく。核燃料被覆材や航空機部品、切削工具、バネ、ダイスなどに利用される。V2O5は触媒として硫酸製造に利用される。VOは酸化物でありながら電気伝導性を持つ。ガリウムとの化合物は16.8K以下で超伝導を示す。