銅(copper)
原子番号 29 原子量 63.546
m.p. 1083.4℃ b.p. 2567℃
密度 8.96(g/cm3)
単体は赤色の固体。古くから知られていた元素の一つ。イラク北部では紀元前8800年ごろに天然の銅からつくられたと考えられるビーズが見つかっている。元素名は古代の銅の産出地であるキプロスのラテン語名"cuprum"にちなむとされる。日本でも古くから知られており、「赤金(あかがね)」と呼ばれた。西暦698年に因幡国(現在の鳥取県)で銅鉱が産出したという記録がある。日本の古代遺跡からは青銅器や銅鐸などが発見されている。
天然には黄銅鉱CuFeS2や輝銅鉱Cu2S、赤銅鉱Cu2Oとして産出する他、自然銅として産出することもある。電解精錬により純度の高い銅を得る。展性・延性に富む。銀に次ぐ電気、熱の良導体。湿った空気中では緑青を生じる。加熱すると黒色の酸化銅(Ⅱ)CuOとなるが、1000℃以上では赤色の酸化銅(Ⅰ)Cu2Oとなる。硝酸や熱濃硫酸に可溶。アンモニア水やシアン化カリウム水溶液にも溶ける。炎色反応は青緑色。酸化数は+2が安定。
金、銀とともに貨幣金属と呼ばれる。日本の硬貨では1円玉以外の硬貨すべてに銅が含まれる。生体必須元素の一つ。イカやタコなどでは体内での酸素運搬に銅イオンを含むヘモシアニンが使われている。電線や鍋などに利用される。青銅(ブロンズ)はスズとの合金であり、黄銅(真鍮)は亜鉛との合金である。