亜鉛(zinc)
原子番号 30 原子量 65.409
m.p. 419.53℃ b.p. 907℃
密度 7.134(g/cm3)
単体は青白色の固体。古くから知られていた元素の一つ。銅との合金である真鍮は紀元前4000年頃には使われていた形跡がある。金属単体を得たのは13世紀頃のインドだと考えられている。1746年にドイツのA. S. Marggrafが菱亜鉛鉱から単体の亜鉛を分離し、その方法を書物に残した。日本語名の「亜鉛」は鉛に色や形が似ていたことに由来する。
天然には閃亜鉛鉱ZnSや菱亜鉛鉱ZnCO3などとして産出する。生体必須元素の一つで、20種類以上の亜鉛含有酵素が知られている。亜鉛が欠乏すると味覚障害や皮膚炎などが生じる。酸にもアルカリにも溶ける両性金属。湿った空気中では灰白色の被膜を生じる。高温では燃焼して白色の酸化物ZnOとなる。銅との合金が真鍮で、楽器などで使われる。また、鉄に亜鉛メッキしたものがトタンで、建築材料などで使われる。マンガン乾電池やアルカリ乾電池の負極などでも利用される。酸化亜鉛ZnOは毒性のない白色顔料や医薬品として利用される。また、硫化亜鉛ZnSは蛍光塗料として時計の文字盤などで利用される。