ホウ素(boron)
原子番号 5 原子量 10.811
m.p. 2300℃ b.p. 3658℃
密度 2.34(g/cm3)
漢字では硼素と表記する。単体は黒色の固体。ホウ砂などのホウ素化合物は古くから知られていた。1807年、イギリスのH. Davyがホウ素を単離。これとは独立に、1808年にはフランスのJ. L. Gay LussacとL. J. Thénardが単体を得た。元素名はホウ砂のラテン語"borax"に由来する。
化学的性質はケイ素に似る(対角関係)。天然には単体としては存在せず、ホウ砂Na2B4O5(OH)4・8H2Oやコールマン石Ca2[B3O4(OH)3]2・2H2Oなどとして産出する。単体元素ではダイヤモンドに次いで硬く、モース硬度では9.3。半導体の性質を示す。空気中では安定。高温では窒素と反応し窒化ホウ素BNとなる。酸化数は+3をとることが多い。MgB2はホウ素のグラファイト状シートの間にマグネシウムが入った構造をしており、39Kと高い温度で超伝導を示す。ホウ素をガラスに混ぜると熱による伸縮を抑えられるため、実験用具などに用いられる。10Bは中性子吸収断面積が大きく、原子炉の制御棒や遮蔽材などで使われる。また、ホウ素の金属化合物は耐熱性に優れ、ロケットエンジンのノズルやジェットエンジンのタービンなどで利用される。シリコン半導体のドーピング剤や化粧品の防腐剤、医薬品、ゴキブリ駆除用のホウ酸団子などでも利用される。