アルミニウム(aluminium)
原子番号 13 原子量 26.981538
m.p. 660.32℃ b.p. 2467℃
密度 2.6989(g/cm3)
単体は銀白色の固体。アメリカでは"aluminum"と表記される。アルミニウムの化合物であるミョウバンは古くから知られており、古代ギリシア・ローマの時代には医薬品などとして利用されていたと考えられている。1807年にはイギリスの化学者H. Davyがミョウバンから得られる酸化物に未知の金属元素が含まれることを確信し、これを"alumium"と名付けた。これはミョウバンのラテン語名"alumen"にちなんだものである。この名称は後に変更され現在の名称となった。1825年にはスウェーデンのH. C. Oerstedにより単体が得られたが、不純物が多く含まれていたとされる。1827年にはドイツのF. Wöhlerが塩化アルミニウムとカリウムを反応させることで純度の高い金属アルミニウムを得ている。
天然にはボーキサイトAl2O3・xH2Oや氷晶石Na3[AlF6]などとして産出する。地殻中には酸素、ケイ素に次いで多量に存在し、金属元素としては最も多く存在する。安定同位体は27Alのみ。工業的にはホール-エルー法によって単体を得る。軽くやわらかい金属で、展性・延性に富む。熱・電気の良導体で、単位質量あたりでは銅よりも電気伝導率が高い。空気中では酸化被膜を生じ、耐食性に優れる。高温では強い光と多量の熱を放出してAl2O3となる。水には不溶だが、酸やアルカリには可溶。濃硝酸には不動態を生じ、溶けにくい。酸化数は+3をとることが多い。
アルミホイルやサッシ、飲料用の缶、1円玉硬貨、建築材、自動車の機械部品、金属の冶金や溶接など様々な用途で利用される。ルビーやサファイアは酸化アルミニウムAl2O3を主成分としている。合金としての利用も多く、アルミニウムを主成分とするジュラルミンは航空機材料などとして利用される。人工的にアルミニウムの表面に厚い酸化被膜をつくり、錆びや摩擦から内部を保護したものがアルマイトである。アルミニウム製造には非常に多くの電力が必要なため、「電気の缶詰」と呼ばれることもある。